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那須ブラーゼン コラム【第13回】 若杉厚仁社長コラム
 

◎那須ブラーゼン 若杉厚仁社長コラム

Text/若杉厚仁


月1回の寄稿を担当させて頂きタイピングしていると、毎度「もうそんな時期!?」と時の流れの速さに驚きうんざりします(笑)今回は、1年がかりで準備したと言えるホームレース「那須2連戦」で大いなる可能性と感謝に包まれたことについてお伝えしたいと思います。
 
苦しみと重圧

今シーズン那須ブラーゼンはもがき苦しんでいました。シーズンスタート当初は、生え抜きの選手達や昨年から所属していて頭角を現した選手達4名に加えて、2人の学生チャンピオン経験者と2人のニューフェイスという8名構成に、「過去最強のチームができたな」、「シーズン中のどの段階で大物食いを連発するか楽しみだな」と強烈に手ごたえを感じていました。実際にシーズン前の合宿などでもチームは期待以上のパフォーマンスを示していたのでした。

しかし、蓋を開けてみれば、全員が主力といえるブラーゼンのメンバーのうち、下島将輝選手と西尾勇人選手が関節に問題を抱え、樋口峻明選手は呼吸器系の疾患と、これだけで3名の選手を欠いて、さらにオフシーズンで出遅れていた吉田悠人選手はまだ仕上がりが先で、永吉篤弥選手と椎貝竜哉選手はこれからの成長によって後半に期待と、実質、トップ集団で走れる状態だったのは岸崇仁選手、柴田雅之2選手の昨年頭角を現したエース候補2名のみの非常に厳しい状況となっていました。

ホーム2連戦を迎えるまでの結果が、上述したことを顕著に物語っており、悪いことに、対照的な県内勢の宇都宮ブリッツェンは「ホーム2連勝+完封勝利、国際レースのステージ優勝」を引っ提げて、期待通りの実力を示してサポーターの心を離しませんでした。


このブリッツェンの姿は、我々ブラーゼンにとっても鮮烈に映っていて、ホームレースへの思い、噛み合っていない現状への不安などが重なり、重苦しい空気とある種のフラストレーションがチーム全体に漂っていました。そんな暗雲を振り払いたい一心で、できるだけの事に、各々も、組織としてもホーム2連戦に向けて一心不乱に取り組んでいました。


予感

そんな中で迎えた6月9日那須塩原クリテリウム。結果こそ樋口選手が獲得したスプリント賞による表彰台確保のみで、上位入賞はおろか、完走16名の中にブラーゼンは一人も送りこめない厳しさを突き付けられましたが、各選手の積極性や連携、パフォーマンスそのものが明らかに向上していることを感じ取ることができました。
 
 
 
噛み合った歯車

10日那須ロードレースでは、吉田選手が4位に入る奮闘を見せました。2人がわずかに先行するゴール前で一気に詰め寄って、メイン集団で2番手のゴール(3位とも僅差)でしたから、表彰台が惜しかったというよりも、優勝までほんの僅かな差だったといえると思います。


そして、着順よりもなによりも、レースを終えた選手達全員が、勝利を逃した悔しさと同時に、その一歩手前に迫るまでに自分達が仕事を全うできたのだという自負を持っていることを感じました。はじめて2018 シーズンの那須ブラーゼンがひとつになった瞬間でした。レースを終えた選手達がダウン行うピットは、プロスポーツと向き合う中で、最も美しいと思える種の場でした。


未来への更なる予感

普段のレースでは絶対に受けることのないレベルで様々なプレッシャーを自分達に課さなければならないホームレースにおいて、今シーズンではじめて一定の成果挙げられたことで、チームは大きな自信を身に纏うことができました。苦しんで苦しみぬいた先で、しかも自分達にとって非常に大きな舞台でこのような手ごたえを感じられたことは、チームに重厚感をもたらしました。常々、ホームースの価値は様々な角度から実感しているわけですが、ホームレースに育まれるホームチームの姿を見ることができました。そして、同時にシーズンスタート当初に感じたレベルにチームが近づいていて、シーズン後半にむけて爆発することを予感しています。

恵まれたことに、7月21日に大田原クリテリウム、22日にやいた片岡ロードレースを迎える訳で、完成系に近づいた2018 シーズン那須ブラーゼンをもうひとつのホームレースで皆さんに観て頂けるであろうことを楽しみにしています。
 
若杉厚仁
Wakasugi Atsuhito

Profile
1989年10月14日生まれ。千葉県出身。
宇都宮ブリッツェンでプロデビュー。
2013年に那須ブラーゼンに移籍、選手権取締役運営マネージャーに就任。
シーズン末に現役引退。
2016年より那須ブラーゼン運営会社「NASPO㈱」代表取締役社長を務める。