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那須ブラーゼン コラム【第29回】
 
今回は、3回目の「エタップ・デュ・ツール」参戦記をお送りします。


2つ目の峠、2級山岳ロングフォイへ


 2つ目の峠に突入した時点では、目標について冷静に現実的な下方修正を頭では受け入れつつありました。しかし、あまりにも斜度がきつく、現状の身体状況では、ペーシングよりも、ただ脚を回転させることが精いっぱいという状況で、頭で思う以上に体が着いてきていないことを強く確認させられました。

 この感覚は、選手時代も含めたサイクリスト人生の中でも最も難しい状況下でレースを継続しなければならないということでもありました。なぜなら、この時点でレース距離は半分も消化していなかったからです。ロングフォイのダウンヒル~ヴァルトランスの麓へ

 とにかく、強烈な登りと下りしか存在しない本コースにおいて、登りのタイムと同時に重要になるのが下りのタイムした。すでに2度の登りの度に大きく遅れていた私にとって、各下りセクションでは順位を上げていくしかありません。

 自分自身の駆るBOMA VIDEpro に許される全開のダウンヒル速度を意識して、登りと同等距離のある下り区間で速度を維持することと順位を回復することに努めました。


ムーティエからヴァルトランスへ

 レース前半でおったダメージからもうまく回復をできず、速度を落としながら、今大会最終にして最長・最高難易度の超級山岳ヴァルトランスに近づいていることをメーターの標示が告げていました。体は完全なブレーキ状態で、とにかく水分とエネルギーの循環を緊急に要する状態にもありました。思い返せば深刻な熱中症の症状にも陥っていた様です。

 そんな中で差し掛かったヴァルトランス麓の補給地点(ムーティエ)でこの日2度目のストップを決断します。

最終にして最長の山岳ヴァルトランス

 補給によってかろうじて回復した体で、ついに世界最高のスキーリゾートとの呼び声もある最終山岳ヴァルトランス峠の入り口に差し掛かります。峠の長さは33km。登り始めればペダルの回転を休めることは許されません。
 峠の序盤は平均8%近い斜度に加えて、昼時の厳しい日差しが襲う魔のヒルクライム区間となりました。徐々に標高を上げ斜度が一旦はなだらかになり、山間部に点在する美しい村々が気持ちを癒しますが、身体の方は標高を上げるごとに酸素の薄さにも襲われます。

 今回はここまでです。次回はいよいよフィナーレを迎えます。
 
若杉厚仁
Wakasugi Atsuhito

Profile
1989年10月14日生まれ。千葉県出身。
宇都宮ブリッツェンでプロデビュー。
2013年に那須ブラーゼンに移籍、選手権取締役運営マネージャーに就任。
シーズン末に現役引退。
2016年より那須ブラーゼン運営会社「NASPO㈱」代表取締役社長を務める。