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  宇都宮ブリッツェン コラム【第22回】
 
自転車ロードレースの国内シーズンも本格化してきた。
宇都宮ブリッツェンもツアー戦Jプロツアー、国際自転車競技連合(UCI)公認国際レースと、日々熱戦を繰り広げている。

そんな中、キャプテンの増田成幸の姿がレース現場ないことを不思議に思う人もいるかもしれない。
増田は今、2020年東京五輪出場に向け、チームとは離れた場所で戦いを続けている。

現状、東京五輪の男子ロードレースで日本に与えられる出場枠は2枠となることが濃厚。
この2枠を日本人選手同士が争う。

そのために日本自転車競技連盟(JCF)が定めている選考基準はふたつ。
ひとつは、2001年12月31日以前に誕生した選手で、今年の10月27日付けでUCI 個人ランキングで10ポイント以上獲得している者。
そして、最も重要になるふたつ目の基準が、昨年のワールドランキング配点表のポイントに、独自の係数を乗じて計算したポイントを合計した上位者から順に選考するというものだ。

独自の係数はAからHまで8段階にランク分けされており、UCI ワールドツアーでも格式とレベルが高いレースがAランクで係数は10。
以下は、UCI欧州ツアーのレースにより高い係数がかけられるように設定される。
そのため、東京五輪の日本代表に選出されるにはより多くのUCIレースに出場し、成績を残してポイントを稼ぐことが必要になるのだが、ブリッツェンは国内での活動がメイン。
出場できるUCI レースには限りがあり、厳しい戦いとなるのは避けて通れないのが実情だ。

だが、幸いなことに増田はJCF が定める強化指定選手に選出されていて、3月17~21日に台湾で開催された「ツール・ド・台湾」と、4月6日~13日にマレーシアで開催された「ツール・ド・ランカウイ」に、日本ナショナルチームで出場する機会を得た。

台湾での増田は、第2ステージ終盤に5人の先頭集団に入ってあわや逃げ切り勝利の場面を作ると、その後も安定した走りで個人総合の順位を上げ、最終日の第5ステージではチームメートのアシストもあって個人総合8位に浮上。
アジア人最上位でアジアンリーダージャージを獲得し、UCI ポイントもしっかり30ポイント獲得。

また、ランカウイでも個人総合争いの山場となった登坂距離20キロ、平均勾配7 .4%を誇る超級山岳、ゲンティンハイランド山頂にフィニッシュする過酷なレイアウトの第4ステージで各チームのエースに一歩も引かない走りを見せ、トップから1分19秒遅れのステージ5位でフィニッシュ。
個人総合でも5位に浮上し、最終日までその順位を守り切ってUCI ポイントを85ポイント獲得した。

増田は4月15 日の時点で、UCI ポイントを115 ポイント獲得し、日本代表選考ランキングでトップに立っている。
もちろん欧州のレースで獲得したUCI ポイントの方が大きく評価されることや、選考期間も来年の5月31日までと長いことを考えると安心はできないが、上々の滑り出しを見せたと言っても良いと感じている。

増田は引き続き、日本ナショナルチームで23日から開幕するアジア選手権に出場する。
アジア選手権の係数は0 .2と決して高くはないが、優勝すれば日本代表選考争いでは貴重なUCI ポイントを50ポイント獲得できるチャンスでもあり、好成績を期待したいところだ。

宇都宮から東京五輪へ。
国内で奮闘するブリッツェンの走りとともに、増田が挑む戦いにも注目して欲しいと思う。
 

小森信道Komori Nobumichi
スポーツの感動を「コトバ」で読み解き、写真で伝える、編集事務所ハットトリックカンパニー代表。
2011 年より宇都宮ブリッツェンオフィシャルとしてサイクルスポーツの取材を始め、現在では新聞連載やweb メディアにも数多く寄稿するなど活躍の幅を広げている。
サイクルメディアグループ「Porte au Village」メンバー。