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  宇都宮ブリッツェン コラム【第29回】
 
 自転車ロードレースの国内ツアー戦、Jプロツアー(JPT)の2019 シーズンが終了した。宇都宮ブリッツェンの最終成績は、個人ランキングで岡篤志が2位、チームランキングが3位だった。


 昨季、開催レースのほぼ半分で優勝を収め、圧倒的な強さでチームランキング首位に立ったことを考えると、いささか物足りない結果に映るかもしれない。しかし、昨季と今季でレースレベルが明らかに異なったことを考えると、最低限の評価が与えられるだけの走りはできたのではないかと感じている。


 今季、レースレベルが一気に上がった要因は、ライバルチームのマトリックスパワータグに加入した2人の外国人選手の存在が大きい。昨季終盤にスポット参戦し今季から正式加入となったフランシスコ・マンセボは、2005 年にツール・ド・フランスで総合4位になった経歴を持つ選手。43歳になった今でも、トップレベルで活躍していたことを物語る走りを見せている。そして、もう1人がベネズエラの新星、オールイスアルベルト・アウラールだ。来年の東京五輪への出場を目指す若者は、その前年に開催国のロードレース界に大きなインパクトを与えた。来季、スペイン籍の国際自転車競技連合(UCI)プロコンチネンタルチームへステップアップの移籍が決まったのも納得の強さだった。


 そんな強敵に対し、宇都宮ブリッツェンも一歩も引かずに戦った。アウラールと最後まで個人ランキングで競り合った岡は、長らくチームのエースとして活躍する増田成幸と双璧をなすエースへと成長したし、残る選手たちも着実な成長を遂げた。増田と岡の2人が日本ナショナルチームに召集され、不在だった期間がそれなりにあったことを考えると、最低限の評価は与えられる成績を残したと思う訳だ。


 ただ、それで済ませてしまう訳にもいかない、決定的な実力差というものを感じたのも、また事実。この実力差を少しずつでも埋めていかない限り、チーム創設11年目の今年から取り組もうとしている「グローカル」という目標は決して達成されない。では、その差をどう埋めていくかだが、JPT では自分たち自身でレベルの高いレースを作っていくという覚悟を持つ一方で、自分たち自身がより高いレベルのレースに身を置いて戦うことも、より重要になっていくだろう。


 そのために必要なのは、チームがそれだけの活動をできるだけの、運営会社も含めた体力作り。選手、チームスタッフ、そして運営会社一丸とって高いハードルに挑む姿が、来季見られることを期待したい。

 
小森信道Komori Nobumichi
スポーツの感動を「コトバ」で読み解き、写真で伝える、編集事務所ハットトリックカンパニー代表。2011 年より宇都宮ブリッツェンオフィシャルとしてサイクルスポーツの取材を始め、現在では新聞連載やweb メディアにも数多く寄稿するなど活躍の幅を広げている。サイクルメディアグループ「Porte au Village」メンバー。