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  宇都宮ブリッツェン コラム【第30回】
 
創設10年の歴史を未来につないだ今シーズン
「世界」への挑戦権は近付きつつある


宇都宮ブリッツェンにとって11年目のシーズンとなる2019 シーズンが終了した。

今シーズンは、創設からの10年間で積み重ねた進化がどれだけのものだったかをぶつける、重要な1年になると個人的に思っていたが、
その成果は最高とは言えないまでも、十分に示したと感じている。


 そのひとつが、今シーズンのチームが重要視していた国際自転車競技連合(UCI)公認国際レースで残した成績だ。

3月に開催されたツール・ド・とちぎ(UCI-2.2)では、岡篤志が最終ステージとなる第3ステージで3位に入り、個人総合時間で表彰台にあと一歩に迫る4位。

5月のツアー・オブ・ジャパン(UCI-2.1)では、第1ステージで岡がステージ優勝を挙げ、今年最初のリーダージャージ着用者になったのに続き、
増田成幸が第6ステージの富士山で4位となり、個人総合時間も4位に浮上。翌日の第7ステージ伊豆で個人総合時間3位の選手の落車に巻き込まれてしまい、
増田は最終的に個人総合時間10位に後退してしまったが、表彰台を争う位置で戦い続けた。

6月のツール・ド・熊野(UCI-2.2)では、再び岡が躍動。第1ステージで2位に入り個人総合時間でも2位になると、その後も順位をキープし
てレースを終えた。8月のおおいたアーバンクラシック(UCI-1.2)と9月のツール・ド・北海道(UCI-2.2)では
上位争いに絡むことができなかったが、上位に食い込もうとレースを動かす力強さを見せた。


 そして迎えた、10月のジャパンカップサイクルロードレース(UCI-1.HC)。チームの地元で開催される、世界のトッププロも多数参戦するビッグレースだ。

今年は、そんな世界トップ選手たちが序盤から積極的に動く想定外の事態で一時は後手を踏むことになったが、他の国内チームと協調してしっかりと流れを引き戻し、
増田と岡を終盤の勝負の場面に送り出すタフさを見せた。

結局、最後は世界トップの走りに屈することになったが、増田がアジア人3番手となる14位。

ホームチームとして面目を保つ走りは見せた。

さらに、シーズン最終戦のツール・ド・おきなわ(UCI-1.2)では、チーム全体が機能して終盤の勝負どころに増田を送り込むと、
その増田も最後はライバルを力で引きちぎって独走に持ち込み、自身同レース3度目となる優勝を飾った。



 ほとんどのレースで優勝争いに絡み、世界的な強さの指標となるUCI ポイントをしっかりと積み上げられた点は評価に値するし、チームの進化を如実に物語っている。

 そしてもうひとつが、これまでの10年間で1度も獲れていなかった、全日本タイトルを獲得できたこと。

全日本選手権個人タイムトライアルで増田が悲願のタイトルを獲得、さらに岡も2位に入りワンツーフィニッシュを達成したことは、
チームの進化を感じずにいられないニュースになった。


 そして最後に挙げたいのが、これらの成績が評価され、来シーズンから岡が格上のUCI プロコンチネンタルチーム(来季からはUCI プロチームに変更予定)である
デルコ・マルセイユ・プロヴァンスに移籍するのが決まったことだ。

2013 年に増田がUCI ワールドチームに移籍したのに続き2例目となるステップアップの移籍は、チームの活動とその成績が、
世界トップレベルの目に留まるようになってきたことの何よりの証明になった。


 活動のすべてが成功し、すべてが順調だった訳ではない。

それでも、トライ&エラーを繰り返しながら着実な進化を遂げてきた宇都宮ブリッツェンは今、確実に「世界」への挑戦権に近付きつつある。

それを現実のものにするためにも、トライ&エラーを繰り返しながら、さらに進化していくしかない。


小森信道Komori Nobumichi
スポーツの感動を「コトバ」で読み解き、写真で伝える、編集事務所ハットトリックカンパニー代表。2011 年より宇都宮ブリッツェンオフィシャルとしてサイクルスポーツの取材を始め、現在では新聞連載やweb メディアにも数多く寄稿するなど活躍の幅を広げている。
サイクルメディアグループ「Porte au Village」メンバー。