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栃木ブレックスコラム【第1回】 王の帰還
 
栃木ブレックス コラム

王の帰還

初代王者を勝ち取った栃木ブレックス。
栃木に凱旋し優勝パレードなどでファンと喜びを分かち合い、クラブ創設10周年を華々しく締めくくった。
 

Bリーグの恩恵
「全員でつかみ取った初代王者」。6月3日(土)、パレードカーを飾った横断幕が、強い日射しを受けて輝いていた。当初の見込みの倍にあたる3万人のファンが、栃木県庁から宇都宮市役所までの1キロ余りのコースを着色に染め上げた。
7年ぶりとなる優勝パレードに「宇都宮にはこんなに人がいたのか」と驚く選手も。そのあと市内中心部のオリオンスクエアで行われた優勝報告会は早々に満員札止め(入場規制)となってしまい、とちぎテレビのスタジオでパレード生中継の司会をしていた私もうかがうことができなかった。
 その2日後、とちぎテレビに選手10人を招いて優勝記念特別番組を生放送、おかげさまで大変な公表を頂いた。
 
その中で選手への質問コーナーを設けたのだが、私の要望でこんなことを聞いてみた。「Bリーグができて、どんな変化を実感しましたか?」すべての選手から「プラス面」の答えが返ってきた。

●#13渡邊裕規選手「優勝賞金」
まさにこれでしょう。地区優勝で1千万円。チャンピオンになって5千万円。ちなみに旧NBLの優勝賞金は1千万円(賞金があったことすら知らなかった人が多いのではないか)、bjは300万円。統合して規模が大きくなった価値は大きい。

●#91落合知也選手「とにかくモテた」
優勝報告会や特番で披露した「チャンピオンダンス」で人気急上昇中。ケガも癒えて、来季は自らの「美学」と話すオフェンスリバウンドをがつがつ取りに行く姿に期待。
 
●#9遠藤祐亮選手、#11須田侑太郎選手、#46生原秀将選手「認知度、注目度、メディアへの露出度」
アリーナに来る人がすごく増えた。放送・新聞などで取り上げられる回数がすごく増えた。一番目に見える効果だろう。チャンピオンシップにはブレアリに全国各地から20社を超えるメディアが訪れていて、記者会見場がぎゅうぎゅう詰めだった。「今まで見ていたものと全く異なったリーグになった。やりがいを感じます」(生原選手)。
ちなみにブレックスができて間もないころには、試合が子ども達のミニバスケの大会と重なってしまいブレックスアリーナで観衆815人なんてこともあったよなぁ(ちなみにその試合で安斎竜三・現コーチがチーム最多の23得点をあげた)。

●#27熊谷尚也選手「バスケを知らない人が興味を持ってくれた」
 #21橋本晃佑選手「今までよりバスケが盛り上がった」

日光市出身の橋本選手は 少年時代からの「将来はブレックスに入りたい」という夢を実現させたのだが「こういうリーグになるなんて当時は想像がつかなかった。すごく驚いている」。
 

●#3前村雄大選手「芸能人に会いたいです」
来季はさらに活躍して、美人リポーターにインタビューされる機会が増えるといいですね。

●#0田臥勇太選手、#25古川孝敏選手「プロとしての自覚と責任」
古川選手「会場にたくさんの方が来てくださり、いろいろな方に声をかけられる。プロとしてパフォーマンスをしっかりしていかなければならないし、夢・勇気を与えていかなければいけないということを実感しています」。
 

中継こぼれ話

セミファイナル(VS シーホース三河)の第3戦、残り5秒9のスローインからライアン・ロシター選手が決勝ゴールをあげたシーンは、これからもクラブの歴史に残る名シーンのひとつに挙げられるだろうが、とちテレ制作の中継では不自然な映像の切り替えに気付いた方が多いのではないかと思う。

シュートが入ったのが残り2秒0。ここから三河の金丸晃輔選手のロングシュートが外れて試合が終わるまでの間、映像はブレアリ全体を映した無人カメラによる「引きの画」になっていて、ボールは米粒ほどの大きさで辛うじて見えたくらいだった。

本来はあり得ない中継映像の見せ方なのだが、これには理由があった。試合を撮るメインカメラはスタンド席の一番上に構えるのだが、ロシター選手がシュートを決めた瞬間にスタンドが一斉に総立ちの歓喜に包まれ、カメラの前が塞がってしまった。コートが映らない。このため緊急避難的に「引きの画」を選択せざるを得なくなったのである。

ファイナル進出の瞬間という大切な場面をまともに撮れなかったことをスタッフは悔いていた。
しかしこの画はすぐに思わぬ反響を呼んだ。スポーツ中継を数多く担当している東京の知り合いのディレクターが「(引きの画にしたのは)狙って見せたのか?会場の爆発感が出ていた。ホームの後押し凄すぎです!」と。

スポナビライブの特集番組でもこの瞬間が取り上げられ、解説者が「ロシターのゴールで泣いた。その後の引きの画でファンが総立ちになったシーンで酒が飲める!」と絶賛していた。

けがの功名とでも言うのだろうか、プレー中は決して出ることのない「引きの画」は、ホームの力・ブレックスの力を全国のバスケファンに知らしめる強烈な映像になったのだった。
 
篠田和之
Shinoda Kazuyuki

Profile
フリーアナウンサー。宇都宮出身。
とちぎテレビ「とちテレニュースLIFE」キャスター。
株式会社ラテールプロモーション代表取締役。
Jリーグ・Bリーグ・アイスホッケー・野球など多くのスポーツ実況を手がける。