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栃木ゴールデンブレーブス コラム【第14回】栃木ゴールデンブレーブス 前田大佳投手インタビュー
 
◎栃木ゴールデンブレーブス
前田大佳インタビュー

Text/高村麻代・Photograph/鈴木誠一


昨季は大学からBC リーグ入りし、特に後半から調子を上げてNPB からも声がかかるほどに成長した前田投手。今シーズンはセットアッパーとしてマウンドに上がる機会が多く、首脳陣からも「今季こそはNPB に行ってほしい」と期待が高い。

しかし、三者連続三振を取ることもあれば、突如として制球が乱れ大量失点につながることも。「自分の可能性を信じて、もがいている」という前田投手に心境を聞いた。
 
―今の調子は?

良い時と悪い時の差が大きいのが今季のこれまでのところ。開幕から中継ぎを中心にやっていますが、力んで制球が乱れて失点するのが自分の悪い癖。村田さん(村田修一選手)には「お前はいつでも全力で行き過ぎる」「速い球の時は体が力んで、投げる前に真っすぐだとバッターにばれやすい」と指摘され、ハッとしました。力を抜いてもスピードはさほど変わらないことは分かってきたんですが、そうかと思うと、脱力しすぎて球に力がのらなくなっちゃう。力まないことと、力を抜きすぎちゃいけないことの違いをまだ体が覚えていないので、球そのものの調子というよりは、力の入れ方のバランスを探っているところです。


―克服するためには?

今は一からピッチングを見直しています。自分の投球を動画で見ると、思っているフォームと全然違います。力を抜くことばかり意識すると、前への推進力が無くなって腕だけで投げているような感じ。野手からも指摘されるほどです。「力を抜く」って良く言うけど、改めて難しいですね。どうしたら本来の力を発揮できるのか、細かい動きの修正をしています。例えば、ピッチングフォームの中にある片足立ちなど、苦手な動きをカバーする練習をトレーニングコーチと見直しています。これが正しいのかどうかわからないけど、とにかく今は突き詰めてやっていくしかないですね。


―気持ちの切り替えはどうしている?

昨季は、シーズン中の休みでも練習ばかりしていましたけど、それでは体が持たないことが分かって、今季はリフレッシュすることも大事にしています。一番は「話すこと」。同じ抑えのじゅん(橋詰循投手)と色々話します。シーズン前はお互い調子が良くて「1点も取られないでいこうぜ」と言っていたのに、2人とも思うような結果が出すにもどかしい状態が続いています。

ただ愚痴を言って終わるわけじゃくて、そうしてチームメイトや学生時代の友人と話すと、頑張っているのは自分だけじゃない、同世代がそれぞれの持ち場(仕事)でもがいていると分かる。上司に怒られたり、結果が出なかったり。そういう気持ちを共有することで、一緒に上がっていこうと自分も前向きになれます。


―もがきながらも、今季の手ごたえはある?

Max148キロというスピートは昨季と変わってないですけど、中継ぎでアベレージが上がって、146~148キロが常に出るようになったのは収穫ですね。それと、今季初先発の新潟アルビレックスBC 戦で完封できたこと(6月23 日)。自分もチームもなかなか勝てない状態で、先発で長いイニングを投げたら、うまく力が抜けて失点無く完封して、思いがけず勝利投手になれました。

なんで打たれないのかマウンドではわからなかったけど、全体に力を抜きながらも要所で力を込めることが出来たからだと今は思います。自分も悩んで沈んでいた中で迎えた後期開幕戦。初めての先発で最後まで0点に抑えられたことで「まだいける」と強く思えました。素直に嬉しかったです。自分の中の可能性を信じられるようになりました。


―NPB はどう見えている?

村田さんや飯原さん(飯原誉士選手)を見ているとレベルの高さを感じて、「そういう世界でやっていくためにどうするべき」かを考えるようになりました。行きたいけど、このままじゃダメ。ただの思い出作りになってしまわないよう、行ったあとこそが勝負。だから、今の結果も大事ですが、目の前の防御率を下げるために小手先のピッチングで抑えても意味がない。プロとして必要なものをここでしっかり身に付けて、遠回りでも苦手をつぶしていく。プロで通用するレベルまで上げていきたいです。


―どんな気持ちで後期に入った?

とにかく進化していきたいです。球のコントロールとか変化は前期より良くなってきていると思いますが、相手も研究してきているから、そう簡単にはいかない。相手の想像の上を行く進化をしなければいけない。去年も夏から調子が上がって後期に結果がでたので、今やっていることを信じて最終戦まで諦めずにやっていきます。そして、仲間と、ファンのみなさんと笑ってシーズンを終わりたい、そう思っています。


 
 
◎栃木ゴールデンブレーブス

前田大佳
Masayoshi Maeda

Profile
#11 投手
1995 年2 月23 日生まれ、
広島県出身、183cm/85kg、
右投/ 右打
広島国泰寺高→筑波大
→栃木ゴールデンブレーブス
 
高村麻代
Takamura Mayo

Profile
NHK各局(津→長野→新潟→宇都宮)で、テレビを中心にキャスター・リポーターを勤める。 フリーアナウンサーとして、CRT栃木放送やFMくらら857でパーソナリティを務めるほか、 ブライダルやイベントのMC、ナレーション、地域誌のコラムなども担当。