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H.C.栃木日光アイスバックスコラム【第21回】  のコピー
 
シーズン最終戦は2,000人の超満員

1月27日、アジアリーグアイスホッケーのレギュラーリーグ最終戦。
H.C. 栃木日光アイスバックスは、ホームリンクの霧降アイスアリーナで日本製紙クレインズを迎え撃った。
この試合は、今シーズン限りでの廃部を表明しているクレインズを本州で見られるラストゲーム。
多くのファンがつめかけて通路まで立ち見があふれる超満員。
公式発表で2,000人という今季最高の観客数となった。



試合はバックスがヨーナス・アランネのゴールで先制するも、クレインズ重野のゴールで追いつく展開。
良いプレーには大歓声が起こり、ちょっとしたミスでも「あぁ」という声がリンクに響き渡る。
選手のプレー一つひとつを絶対に見逃すまいというファンの思いが会場に充満し、単なるシーズン最終戦というもの以上の素晴らしい雰囲気を作り上げていた。

第2ピリオド5分にクレインズ山崎のゴールで逆転を許したバックスは終了間際まで1-2と劣勢を強いられていたが、最後まで勝利を信じるファンのために、気力を振り絞って相手ゴールに向かう。

6人攻撃のギャンブルに出て試合時間も残り30秒を切ったところで、フェイスオフのパックを古橋真来が奪って、寺尾勇利へ。
寺尾はDFの位置にいたアランネにすぐさま繋ぐ。
アランネが思い切ってシュートを狙うと、DFの壁の間から飛
び出てきたパックにGKの反応が遅れ、その股間を抜けてパックはゴールに吸い込まれる。

その瞬間、霧降のリンクはかつて聞いたようなことのない大歓声に包まれた。
今季を支えてくれたファンに向けての選手の思いが届いたかのようなゴール。
まさに霧降が沸騰した瞬間だったとも言えるだろう。



ブレずにフィンランドスタイルを貫き、前へ進もう

バックスの2018-19 シーズンは、34試合を戦って13勝21敗。
大きく負け越しを許し、8位に終わった。

アリペッカ・シッキネンヘッドコーチは「今季は守りの構築を図ってきたがケガ人が多く、序盤で勢いに乗ることができなかった。一言で言うのはとても難しいが、調子の波が大きく上下した部分があった」と険しい表情でシーズンを振り返った。

一方で「厳しいスタートだったにもかかわらず、10月は全勝で乗り切るなど選手達は成長を見せてくれた。若い選手が多いので、しっかりと育てていきたい。毎日少しずつかも知れないが、チームが良くなっていることは間違いない。バックスの時代を作りたい」と光が見えていることも口にした。

一時期はチーム記録を更新する8連勝をマークして貯金5とするなど好調だった時期もあったが、苦手な韓国遠征をきっかけに、シーズン終盤は一気に失速してしまったのは残念だ。

連勝時は猛威を振るったシッキネンHCによるオフェンスのシステムが相手に研究されたことで、終盤は得点力不足に苦しめられた感がある。
そこで相手の対策を打ち破るプラスアルファの戦術を披露する事ができなかったのは確か。
その原因は何にあるのかをオフシーズンにはしっかり分析をして突き止め、進化した状態で新シーズンを迎える事が必要だ。
大きな方向性として、フィンランドの選手育成スタイルを取り入れてチームを強化するという方針は間違っていない。
バックスには今季の結果にだけ振り回されることなく、ブレずに日本の、そしてアジアの頂点を見据えての挑戦を続けてもらいたい。
 
 
関谷智紀
Sekiya Tomoki

Profile
1971年生まれ。埼玉県入間市出身。
スポーツ番組ディレクターを経てライターに転身。
スポーツのみならず経済、IT、フードなどのジャンルで雑誌を中心に記事を執筆。
アイスホッケー取材は2004年から続けている。