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H.C.栃木日光アイスバックス佐藤大翔・岩本和真・坂田駿、3選手対談【第27回】
 
◎H.C.栃木日光アイスバックス 佐藤大翔・岩本和真・坂田駿、3選手対談
 シーズン開幕まであと少し。8月31日のアジアリーグ開幕戦、対ひがし北海道クレインズ戦に向け、アイスバックスは霧降のホームリンクでトレーニングをしっかりと積み重ねている。
 今季は新キャプテン(C)に佐藤大翔選手。アシスタントキャプテン(A)に岩本和真選手と坂田駿選手が指名された。新しいチーム作りの根幹としてチームを支えていくニューリーダー3人に、H.C. 栃木日光アイスバックスの今の状況とシーズンへの展望を聞いた。

勝利へのカギは“統一力”
―氷上練習を重ねて、新しいチームの形ができてきました。
佐藤 ヘッドコーチの掲げるチームスローガンも『ICEBUCKSUNIFYING POWER(統一力)』ということで、その言葉通りみんなが同じ方向を向いていますし、問題なく順調に来ていると思っています。

―今季はどんなチームを目指していますか?
佐藤 氷上練習が始まったときはパスが繋がらなかったりしたシーンもあったのですが、今は改善されパスの精度や練習の質も上がってきています。まずは僕ら3人がとにかくまとまらないと、とも話したのですが、選手同士がそれぞれ意見を持ちながらも勝利に向かって一つになることが、チーム全体としてもゴールです。
岩本 昨シーズン後半に連敗が続いたとき雰囲気が下がってしまったし、一部で選手同士やスタッフへの文句なども出たことがあったので。良いときも悪いときも絶対にあるだろうけれども自分たちからマイナスの雰囲気を作らないように、と話し合っています。
坂田 新キャプテンは、僕が日本製紙クレインズ時代に対戦相手として戦っているときから、プレーにガッツと勢いがあって思い切ってやっている、プレーで引っ張っている、と感じていました。一緒のチームになってそういう面を凄く感じて、年下ですが見習うところもありますし、彼がキャプテンになったことで良い方向に変化して行くと思います。
岩本 バックスは、全員が一つの方向にまとまって、泥臭く勝っていかなければならないチーム。ベテラン選手は多く抜けましたがその分補強もできましたし、チームファーストで戦うスタイルをもった選手が揃っている。良い方向に進んでいると思います。


―新たにチームリーダーとして指名され、それぞれ考えている
ことは?

岩本 去年までと比べて、やるべきことは大きくは変わらないですが、若い選手が台頭してきています。若い選手中心にどんどんチームを盛り上げて行きたいですし、僕はベテランと若手の架け橋になれたら。
坂田 バックスに来て2年目で副キャプテンに指名されることは、まったく予想しておらず驚きました。でもその事を電話で伝えられた時に、チームを引っ張る覚悟を決めて取り組んで行こうと決意しました。
岩本 キャプテンのサポートをしながら周囲を良く見て、チームスローガン通りに一つになるために取り組んでいきます。まだ始まったばかりなので、シーズンが進むにつれ、選手間のコミュニケーションを深めていければ。
坂田 締めるところは新キャプテンもガツンと言いますし、(佐藤)大翔がキャプテンになったことでその同世代も多いですし、意見を言い合ってチームを皆で築き上げていく、そんなチームへと変化しているような気がしますね。
佐藤 僕が全員に向けて発言する時でも、2人が上手く付け加えてフォローもしてくれるので、相談しながら良い形でやらせてもらってます。


アイスホッケーがよりメジャーになるために勝負のシーズン
―新シーズンへの期待は?
岩本 「アジアリーグは行われないのでは」といった噂もオフにちらほら出て、日本のアイスホッケー界がどうなっていくのだろうという心配もありました。そんななか、こうやって日程も発表されて、ひがし北海道クレインズもプロ化。懸命にホッケーを盛り上げていこうこうという人も多くいらっしゃることを感じ取れたオフだったので、その面でも大事なシーズンだと思います。
坂田 クレインズの件もそうですが、良い意味でホッケー界が変化していると感じています。今季はまるでプロ野球のように移籍も活発でチームカラーもそれぞれ変わってきている。そういった点でとても楽しみなシーズンです。僕らもしっかりプレーでPRして、日本で少しでもホッケーがメジャースポーツに近づけるように、そうなれるように頑張りたいと思います。
佐藤 ファンのみなさんがいっぱい応援してくれていますし、フロントの方達も支えてくれています。そういう方々へ、優勝すること、勝つことを見せるのが最高の恩返しになると思うので1試合1試合大切に頑張りたいと思います。優勝経験のある選手が2、3人しかいないなかで、バックスがプロチームとして初めて優勝を勝ち取ることができたら、選手達の経験値もぐっと上がると思いますし、キャリアとしてもとても誇れることだと思うので、頂点を目指して突き進みたいです。


プロチームとして21年目の誇りを胸に
―今季、一番警戒しているチームは?
佐藤 特にというのはないですが、王子イーグルスに勝ったら面白そうですね。
岩本 僕も王子に勝ちたい。メンバーを見たら、日本代表を組めるくらい選手が揃ってきましたから。その中で王子に勝てたら。ファンの方も王子に対してバックスが勝てば嬉しいと思うんです。古河電工時代からの伝統というか意識というか、バックスファンのその思いは僕にも浸透してきているので、ぜひ勝ちたいです。
坂田 どこにも負けたくないですが、やっぱり釧路にいたのでクレインズは意識します。今年、彼らはプロになったばかり。バックスは21年プロをやっているので、先輩としてこの開幕戦では絶対に負けたくないですね。

―最後になりますが、開幕に向けての意気込みを!
岩本 去年も開幕は釧路でしたが、なかなか良いスタートが切れなかったので、しっかりスタートダッシュに繋げたい。良い準備をしてシーズンでも波を作らずにプレーオフに向かって行きたいと思いますので、ぜひ応援してください。
坂田 開幕はたくさんのファンが注目している試合。しっかりと「今季のバックスは強いんだ」という姿をお見せします。
佐藤 いつも大勢のファンの方が釧路に来て頂いているので、勝つための準備をしっかりして、良い開幕を迎えられるように頑張ります。「21年目のシーズン、僕らが勝つ姿をたくさん見たい」というファンの皆さんの思いをぜひ実現します!

―この3人の結束があればバックスはかなりやれそうです。期待しても良いですか?
全員 (力強く)はい!

 3人ともに、今季への決意と責任感がしっかり伝わってくるような座談会となった。彼らが目指すチーム作りがしっかり貫徹できれば、今まで以上に勢いと元気のある魅力的なチームに仕上がるに違いない。ぜひプレーオフ進出、そしてリーグ初優勝を目指して突き進め!


◎H.C.栃木日光アイスバックス アリペッカ・シッキネン ヘッドコーチインタビュー
毎日少しずつでも成長するために、ハードワークを怠らないこと
2019-20 アジアリーグアイスホッケーが8月31日に開幕。H.C. 栃木日光アイスバックスは開幕戦でひがし北海道クレインズと釧路でのアウエー3連戦で激突する。今シーズンは日本・韓国・ロシアから計7チームが参加し、総当たり6試合ずつのリーグ、そして上位4チームによるプレーオフで優勝を争う。
今季もバックスの指揮を執るのはアリペッカ・シッキネンヘッドコーチだ。シッキネン体制3年目となる今シーズン、フィンランド出身の指揮官はどんなアイスホッケーを見せてくれるのか?その胸の内をじっくりと聞いた。


勝つために最も重要なのは「まとまる」こと
―現在のチームの仕上がり、どう見ていますか?
まだ氷上練習は8回ほどです。そんな状況ですから、今時点でチームの仕上がりについて論評する段階ではないと思いますが、チームは練習を重ねるごとに成長しているのを実感しています。選手達も開幕までの1カ月で少しでも私の話す指導内容を吸収して、前に進んでくれていると思います。

―昨季は途中まで快進撃でしたが、戦術を研究された終盤に苦しみました。対策は?
戦術面で劇的に変えるということはしないつもりですが、その点はしっかり我々も対応しなければなりません。今季は序盤の数試合を戦った段階で、相手の出方や動き、考え方をしっかり見極めて、ある時期が来たらその手を打ちたいとも考えています。色々と目算はあります。昨年11月くらいまでの勝ち続けていた時期は、チームが非常に良くまとまっていました。私の指示する戦術の細かいディテー
ルも選手達は忠実に実行してくれていた。その時の気持ちや動きをしっかり思い出して今季に臨んでくれれば、きっと強いチームになります。

―それを実行するためには?
バックスは1、2人の突出した選手がいるわけではない。23人全員で戦わなければ勝利を掴むことのできないチームです。『ICEBUCKS UNIFYING POWER(統一力)』と今季のスローガンにも掲げたように、チームがしっかりまとまること。それが必要です。
それには①コミットメント(チームの約束を守る)、②ハードワーク(常に努力する)、③ビリーブ(仲間を信じる)、選手もスタッ
フも全員がこの3つを守って努力すれば、常に勝てるチームへと進化して行きます。これを実行するために、プロとしての高いモチベーションを選手個々が持っていることは間違いない。おおいに楽しみにしています。


フィンランドスタイルの浸透具合は?
―今季は佐藤大翔選手をキャプテンに指名しました。その意図は?
チームを一段上のものに進化させるために、彼のリーダーシップに期待しています。キャプテンになることで、今まで以上にチームメイトを引っ張っていってもらいたい。
壱バックスが強く、より愛されるチームになるためには選手とスタッフだけではなく、応援してくれるファンのみなさんやこの地域に住んでいる方々の思いも巻き込んで1つに進んでいかなければなりません。そのためにも、今季のチームには彼の持つ前向きなエネルギーが力になると思います。

―来日されて3年目。フィンランドスタイルが浸透して来た手応えはありますか?
3年目を迎えて、より実現できるとの手応えがあります。1年目は選手とのコミュニケーションも取りにくく、文化の違いもあり
ました。例えば「A選手は何を考えているのか」、「アイスホッケーで重要だと思っていることは何か」、といった部分を掴み切れて
いなかった。
しかし、今では選手の人間性も理解して接することができています。選手の側も、疑問があったら私のところにどんどん質問に来たりもしている。主力選手の戦術理解度が上がってきているので、新人が入ってきても選手同士で話し合うなどして早く戦術が浸透する。そう言った好循環もできてきました。


若手が伸び伸びとプレーし、成長するために競争を促す
―メンバーは非常に若返りました。
3~5年後を見据えたチームの将来のためにも、今季の1つのテーマとしてより多くの若手選手を試合を通じて成長させていきたいと考えています。乾(純也)、渡邉(亮秀)、出口(圭太)、相馬(秀斗)、それから入団発表されたばかりの柚木(辰徳)など、良い競争をさせることによって将来の主力としてしっかり育てていきたいと思います。それからゴールキーパーに関しても、福藤(豊)が実力者であることは間違いないでが、今後を見据えて井上(光明)と龍(翔太郎)を競わせ、2人のより良い面を引き出したいと思っています。
確かに若い選手がとても多くなりました。そういう意味では、いまバックスに一番必要なのは「我慢」と言えるかも知れません。若手を多く起用していきますし、ハードワークで毎試合チャレンジもしていきますが、そのぶん良い試合をしても結果が出ないことがあるかも知れません。シーズンの初めから良いスタートを切ることが重要ですが、そのためには開幕までの1カ月で若手がどれだけ頑張って成長するか、もポイントです。

―期待する選手は?
古橋真来には大いに期待しています。バックスの顔となって欲しい。それからヨーナス・アランネと新外国人のヘンリ・ヨキエリッケラ、2人のフィンランド選手は大きな戦力で、彼らが活躍することでチームもまとまると思っています。鈴木雄大、鈴木健斗兄弟の得点力にも期待大ですし、齋藤哲也、寺尾裕道など代表経験の豊富な選手もいます。彼らに引っ張られることで、若手も大きく伸びて欲しいと思っています。

選手、スタッフ、ファンが一体となってプレーオフを目指す
―3年目を迎えて、日光での生活も慣れましたか?
本当に過ごしやすい街で、みなさんにとても暖かく見守って頂き感謝しています。息子のニッコーもだいぶ大きくなって、今では保育園で元気いっぱい走り回っていますよ。日光にはフィンランドにも似ている雰囲気の場所もあるし、とても気に入っています。私も、川沿いを散歩したりなどするのですが、空気がとてもおいしくて気持ち良いですね。ただ、この夏の暑さには参りました(笑)

―最後に今季の目標を教えてください。
リーグを勝ち進んでプレーオフに出場するのが1番の目標です。
良いプレーをしなければならないし、チームのレベルを一段と上げる必要があります。様々な課題を克服しなくてはなりません。そのためには毎日少しずつでも成長するために、ハードワークを怠らないこと。大きな挑戦ですが、選手達とともに挑み続け、ぜひプレーオフの座を掴みたいと思っています。

関谷智紀Sekiya Tomoki
1971 年生まれ。
埼玉県入間市出身。
スポーツ番組ディレクターを経てライターに転身。
スポーツのみならず経済・IT、フードなどのジャンルで雑誌を中心に記事を執筆。
アイスホッケー取材は2004 年から続けている。