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H.C.栃木日光アイスバックスコラム【第27回】
 
 8月31日に行われたアジアリーグ2019-20 シーズンの開幕戦。H.C. 栃木日光アイスバックスは、ひがし北海道クレインズのホーム・日本製紙アイスアリーナに乗り込んで見事に3-2 で勝利を飾った。

 今シーズンからプロチームとなったクレインズに対して、プロ21年目の先輩として強さを見せたアイスバックス。開幕戦で白星を挙げたのは2016 年9月の対チャイナドラゴン戦以来3年ぶり。アウエーでの開幕戦に勝ったのは2011 年9月の対王子イーグルス戦以来だ。





絶好調・古橋が1ゴール2アシスト。
決勝点は寺尾裕道!



 今季初ゴールは、第1ピリオド開始すぐに飛び出したヨーナス・アランネの豪快なスラップショット。
古橋真来からのパスを受けて左サイドから強烈なシュートをゴール右隅に突き刺した。バックスは自陣でのパスミスからクレインズにカウンターで攻められるピンチが何度かあったがGK福藤を中心に守り抜いて試合の主導権を徐々に引き寄せると、第2ピリオドに得たパワープレーのチャンスでは綺麗にパスを回して相手ディフェンスを翻弄。最後は古橋が押し込んで2-0 とリードを広げた。

 しかし、新生クレインズとなって初の試合で「絶対負けられない」という意地を見せる相手も食い下がり、第3ピリオ
ド開始直後に2-2 の同点に。その後はお互いの勝ちたい気持ちが観客席にビリビリと伝わってくるような素晴らしい攻め合いとなったが、決勝点を奪ったのはバックス。5分過ぎに大津夕聖の攻め上がりから古橋へ繋ぎ、最後は寺尾裕道がゴール前で相手を交わし、シュート。これが見事に決まって3-2 と勝ち越す。

 寺尾(裕)は「ニュートラルゾーンで良いパスをもらって、マークを見たら相手がFWだったので内側に切れ込めば抜ける、と。切り込んだ瞬間にシュートを打ったら相手の足か何かに当たって相手GKの股下をパックが通った。感触は良かったので決まる自信はあった。『スタートは大事』とみんなで話し合っていたなか、良い仕事ができた」と今季初ゴールを振り返った。

その後15分間は押し寄せるクレインズの攻撃を佐藤大翔キャプテンや坂田駿を中心にバックスのディフェンスが身体を張って守り切り、敵地で見事に勝ち点3を奪った。

 開幕勝利にアリペッカ・シッキネンヘッドコーチも「初戦で勝ち点3を取れたのは素晴らしい。今日は全員が戦い抜いた『チームの勝利』。

守りには課題が出たが、最後は誰もが全力を出して得点を許さなかった。次戦ももっと良い内容にできるように頑張りたい」と納得の表情。

 全3得点に絡む1ゴール2アシストの大活躍だった古橋は得点について「タフなゲームでしたが、勝てて良かった。スクリーンに入ってリバウンドが出たところをもう一度パスをもらってシュートに持って行けた。ゴール前のバトルで上回れたのが大きい」と振り返り、「4年目のシーズンを迎え、自分自身に期待も緊張もあるなか、初戦で結果が出て自信となった」と会心の笑顔。

決めるべき人が決め、守るべき人が守る、というバックスにとっては非常に内容のある今季初白星となった。

 翌9月1日の試合は2-4 でクレインズの初勝利への執念に屈したが、古橋と新外国人ヘンリ・ヨキエリッキラが得点を決めるなど内容は互角。佐藤キャプテンも「走り負けてはいないし、落ち込むような内容ではない」と決して下を向くことはなく3 連戦の最終日を迎えることとなった。


GK井上光明、スーパーセーブ連発。
古巣相手の1年9カ月ぶり勝利で歓喜の輪が!




 3連戦の勝ち越しが掛かった9月2日の試合。バックスの先発GKを務めたのは井上光明だった。今シーズンは3日で3連戦という日程が多いため、福藤の負担を軽減するためにもバックアップGKのできが大きなポイントとなる。その意味でも井上の初戦に注目が集まったが、井上は合格点を超えるパフォーマンスを見せてくれた。

 試合は牛来拓都の芸術的なバックハンドシュートでバックスが先制したが、DFの乱れからパワープレー中にノーマークシュートを許して1-1。さらに第2ピリオドにも決められ1-2。

しかし、その後バックスは守りの集中力を切らさずに相手の猛攻を耐え抜く。井上もスーパーセーブを連発し、追加点を絶対に許さない。すると第3ピリオド開始直後、バックスに2人多いパワープレーのチャンス。ここで、ゴール右の鈴木健斗がゴールキーパーの目の前をすっと真横に横切るようなパスを通し、ゴール左で待ち構えていたのが兄・鈴木雄大。

期待の新戦力、鈴木兄弟のコンビネーションでバックスが同点に追いつくと、その後は両者譲らないまま、延長、そして決着のゲームウィニングショット(GWS)戦へと突入した。

ゲームウイニングショット、井上の鉄壁の守り!


 クレインズのラトビア人GK、ヤニス・オージンシュとの一騎打ちとなったGWS でも井上は素晴らしい集中力を見せ、クレインズの最初の3人の動きを読み切ってシャットアウト。

バックスは寺尾(裕)、ヨリエリッキラ、出口佳太が決めて、最終的には3対1でGWS を制し勝利をもぎ取った。

 昨シーズンまでクレインズに所属していた井上はセカンドゴーリーという立場だったため、昨季リーグ戦ではわずか1
試合の出場に留まっていた。

しかし井上は、どんなときであっても100%以上の準備をして試合に臨むプロフェッショナル。

「必ずこのリンクで勝利したいと思っていた」とバックスに入って早くも3試合目で巡ってきたチャンスでも完璧な準備をして臨んだ井上は「非常に攻撃力のある相手で苦しかったですが、味方のミスがあったとしてもそこを守り切るのがGK。任された試合で仕事ができて良かった」と、バックスにしっかり2勝目をもたらした。

 “ミッツ(井上の愛称)” の復活はファンのみならずチームメイトも待ち望んでいたようで、バックスのロッカールームのドア越しに井上を称えるコールに続いて、チーム全員による「ラ・バンバ」の歌声も。2017 年11月26日以来となる1年9カ月ぶりの勝利GKとなった井上のプレーは、貴重な勝ち点2だけでなく、チームを一段上に引き上げるような結束力も運んできたようだ。