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H.C.栃木日光アイスバックスコラム【第3回】
 
H.C.栃木日光アイスバックス 寺尾裕道選手インタビュー

日光の子ども達から 憧れられる兄弟プレーヤーに
Text/関谷智紀・Photograph/MASA
 

ついにオレンジ色のユニフォームに袖を通す時がやってきた。
5年間を過ごした王子イーグルスからFAでのアイスバックス移籍が決まった寺尾裕道選手。
開幕を目前に控え、彼の熱い想いを聞いた。


―お帰りなさい!ファンは兄弟揃っての日光でのプレーを待ち望んでいました。
 弟(寺尾勇利選手)も以前から「一緒にプレーできたら」と言ってくれていましたし、僕自身も共に戦えることを楽 しみにしていました。日光はファンの声援が素晴らしく「いつかは地元で」と思っていました。今回このような形で実 現できて、とても嬉しいです。

―入団後の練習ではどんな感じでしたか?
特別に言葉を交わしたわけではないんですが、弟や古橋(真来)選手、大津(夕聖)選手といった日光で育ったメン バーと一緒に練習して、パスなどを交わしているときに、昔の懐かしい感じが蘇ってきましたね。子どもの頃から細尾 リンクなどで一緒に練習していたときの感覚というか……。「日光に戻ってきたな」と強く感じています。

―6月の入団会見では「弟には負けたくない」と発言されていましたが、その真意は?
王子での5年で「正確にプレーをする」ことを学びました。兄としてキャリアも経験も彼よりありますし、得点の数 だけでなく、プレーひとつ一つの質においても弟には負けてはいけないと思ったからです。  弟と競い合いながら「あの兄弟のような選手になりたい」と日光の子ども達に強く憧れてもらえるようなプレーをた くさん見せたいですね。

―王子時代に一緒だった齋藤兄弟(齋藤毅選手&哲也選手)とも、今季はチームメイトになります
毅さん、哲也さんからは、特に守りの部分で多くのことを教わりました。王子の時からお二人のプレースタイルは変 わっ ていると思いますし、僕自身も成長した実感があるので、一 緒に戦うことでアイスバックスにどのような形で貢献できる か、とても楽しみです。

―(アリペッカ)シッキネン新監督の戦術については?
守りに関してはシステムが決まっていますが、攻撃に関し ては比較的自由にプレーさせてくれる印象ですね。僕はパッ クを持って中に入っていくプレーなどが得意ですので、得点 を奪うプロセスとしてそれを活かしてくれる意味でも、新監督 が掲げるコンセプトは自分に合っていると感じます。

―目標は?
今季は短期決戦なので、1試合1試合全力で勝ちに行き、 優勝するための力となりたい。「アジアリーグと全日本選手権 の2 冠達成」と「得点王を取る」ことが目標です。

―改めて、入団を大いに喜んでいる日光のファンへメッセー ジを!
声援は本当に力になりますし、感謝しています。優勝を勝 ち取るため、僕たち選手全員が、ファンの皆様とともに日光 の誇りを持って戦い抜きますので、ぜひ応援してください!


 
 
寺尾裕道 53 FW
てらお・ひろみち

1989 年6 月15 日生まれ
栃木県日光市出身
173cm / 80kg
王子イーグルス→H.C. 栃木日光アイスバックス
 
寺尾勇利 88 FW
てらお・ゆうり

1995 年4 月29 日生まれ
栃木県日光市出身
171cm / 78kg
H.C. 栃木日光アイスバックス→ウォータルーブラックホークス(USHL)→ H.C. 栃木日光アイスバックス
 
H.C.栃木日光アイスバックス コラム

目指すは速く繋いで攻めるスタイルへ。
躍進の1年になるか、ワクワクが止まらない!
Text/関谷智紀・Photograph/MASA
 

「今年のアイスバックスは大きく変わるかも」。そんな期待を抱かせる開幕直前だ。

この夏、精力的に練習を重ねたアイスバックスは、アリペッカ・シッキネン新監督のもとフィンランドスタイルが徐々に浸透中。では、そのスタイルとは?

「前で空いている選手へまずはパックを繋ぐ、という昨季の形から、FW3人が戻ってDFと合わせた5人全員で攻めようぜ、というのが今季」と分かりやすく説明してくれたのはDF河合龍一選手。
「その分DFからの正確なパス供給やFW3人のサポートの動きが重要になる。この新しい取り組みがはまればチャンスを多く生み出せる。パスも増えて、見ている人もとても楽しめるホッケーになると思います(河合選手)」。

速く繋いで攻める欧州スタイルへの転換は、よりDFの判断能力が要求されるという。DF大津夕聖選手は昨季のベスト体重からさらに7kg を絞った。

「迅速な判断力が求められるので、体重を絞りつつパワーもつける方向でトレーニングしてきました。繋ぐホッケーは攻撃参加も多くなる。最初の3歩で負けない動き出しの速さを意識しています」と準備万端。佐藤大翔選手、石川貴大選手などDF陣に走れる選手が揃い、東洋大から新加入の田中健太郎選手も活きの良い動きを見せている。

「細かく泥臭いプレーをしっかりやり抜いて良い守りから攻めに繋げたい。1年目から結果を出すことに集中して行きます(田中選手)」と臆する様子はなく、頼もしい。

FWに目を移すと、寺尾裕道選手が王子から移籍加入。寺尾勇利選手、古橋真来選手と日光が誇るゴールゲッターが揃い、地元ファンにとってはもうワクワクが止まらない状態だろう。武修館高から入団した大型ルーキー、松井渉選手のポテンシャルにも期待だ。

齋藤哲也キャプテンも、まだまだこれからの段階ですが……と慎重ながらも「監督の目指す『スピーディーに連携して攻める』ホッケーは徐々に形になっています。“まず守から攻” という昨季から、今年は個人のクオリティを活かして、よりチャレンジした攻めをしようという意識へと変わっています」と語る。

新加入のヤッセ・ニーニマキ選手は連日正確なシュート力と視野の広さを披露。さらに8月10日には元フィンランド代表、ペッテリ・ヌメリン選手の加入が発表された。

NHL で計139 試合に出場、トリノ五輪では銀メダルなど豊富な実績を誇る。
新監督が口説き落としたという大物の加入は、若手にとって願ってもないお手本だろう。

今季はレギュラーシーズン28 試合という短期決戦。
9 月2 日(土)・3日(日)のホーム開幕2連戦、対王子イーグルス戦からさっそく目が離せない熱い戦いが始まる。
 
関谷智紀
Sekiya Tomoki

Profile
1971年生まれ。埼玉県入間市出身。
スポーツ番組ディレクターを経てライターに転身。
スポーツのみならず経済、IT、フードなどのジャンルで雑誌を中心に記事を執筆。
アイスホッケー取材は2004年から続けている。