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相手フォワードに対してもひるまずにぶつかって攻撃の芽を摘み取る、守りの主役としてこのところ著しい成長を見せている大津夕聖選手。その成長の理由について、話を聞いた。


―まずは全日本選手権優勝、おめでとうございます。
 主力として全日本で戦って、優勝の瞬間にリンク内にいることができたというのがとにかく嬉しいです。


 優勝のカウントダウンではベンチにいて、井上(光明)さんに「ドア、早く空けてください!」と言っていたら、相馬(秀斗)が僕の上を飛び越えて福藤(豊)さんの方に行ってました(笑)そのあと、福藤さんに思いっきり抱きついて…、あの瞬間は本当に嬉しかったです!


―プロになって6年目での優勝。どんな思いでし
たか?

 優勝できた嬉しさと、ここまで味わってきた悔しさ、今年取り組んで来たことは間違いではなかった、という思い。そして詰めかけたファンの皆さんの前で優勝できたということ。


 それらが一気にごちゃまぜになって感情を突き動かしたというか、喜びすぎて体からあふれてしまうような、そんな感じでした。あの瞬間は。


 5年前に横浜でアイスバックスが優勝したとき、僕はルーキーイヤーでU20 の日本代表に呼ばれていて試合には出ていなかったんです。自分だけそこにいなかったのは当時本当に悔しくて。


 「いつか必ず」という思いは常に心にありました。


―優勝して心境に変化は出てきましたか?
 やはり、優勝したからこそこれからの責任も重くなると言う部分はあります。


 残りのリーグ戦も半分以上は国内チームと戦うことになりますし、チャンピオンチームとして誇りと責任をもってプレーしないと、という引き締まった気持ちにもなります。


―ルーキーのころと比べて、なにが一番成長した?
 今この時がプロとして取り組んできたなかで、プレーに対する自信というものを一番持てている段階だと思います。失敗を恐れていないと言いますか…、「失敗してもそれを課題にして成長しよう!」と自分が思えていることが大きい。


 1対1の争いを制すパワーやスピードといった個々のファクターよりも、メンタル面として成長できたのがこの6年間だったと思います。


―今季は攻撃面でも印象的なプレーが増えました。
 今はヘンリ・ヨキエリッキラと英語でコミュニケーションを取りながら、コンビを組んでいます。僕もヘンリもリンク上で結構声を出すタイプなのでやりやすい。


 坂田駿さんとペアを組んでいたときと同じくらい意思の疎通ができるようになったし、ヘンリは自分がゴールに近づく動きをサポートしてくれるなどで生かしてくれ、呼吸もさらに合ってきた感があります。


―チームを支える存在になっていきたい?
 以前は自分のプレーが良いから周りも生かせる、という考えがあって、「自分が自分が」という意識が多少あったのですが、全体的な面でもっとチームを鼓舞できるような存在になりたいと思うようになりました。


 そのためにいじられ役を買って出てもいいくらいですね。声もいっぱい出しますし、練習などでは面白いこともします(笑)


―霧降での王子イーグルス戦では2点差で負けてい
た試合であえてファンを煽ったこともありました。

 0-2で負けていて、さらに反則でピンチ。せっかく満員の観客席だったのにムードが良くなくて、観客席からヤジも聞こえてきたときに「こんなんじゃない。2点差だし、まだ逆転できる。


 笑われても良いから、自分がやる」と決意して、観客席のファンにアピールしたことを覚えています。


 そこからリンクの雰囲気が一気に盛り上がって、スタンドと選手が一体となって選手達の動きも上がった。本当にリンクが一丸となった、そんな瞬間でした。


 霧降はああいう風に盛り上がれる、ということをあの試合でファンの方にも実感してもらえたと思います。だからこそ、ホームリンクの霧降で戦うことは楽しいんですよね。


 このチームで優勝したいからこそ絶対勝たないといけないし、ファンの方にも「ここで支えたい!」と思ってもらえるような、チームを盛り上げるプレーをこれからも続けていきたいです。


 11月のユーロチャレンジでは日本代表に選ばれた大津選手。イタリア戦では日本の勝利に貢献するなど、いよいよ世界と戦うフェーズに達しつつある。


―2月に五輪3次予選がありますが、代表への思
いは?

 日本代表は常に意識しています。U18、U20 と代表では戦ってきましたから、今回も呼ばれたら日本の代表として身体を張ってプレーしてきたいと思います。


 海外のチームと戦うときでも、1対1では絶対に抜かれたくないし、フィジカルも負けたくないという思いは強く持っています。イタリア戦では1対1も負けませんでしたし、シュートブロックもいけた。


―世界を相手に勝てる力が付いてきた?
 これからも代表に選ばれるために出場機会を増やさないといけません。11月にイタリアに勝ったことは、ランキングの高い相手国にも勝てるということです。日本はスピードがあるので個人個人がシステムを守って戦い抜けば勝ちきること、予選突破も出来ると思います。


―最後に、残りのリーグ戦に向けての決意を。
 リーグ戦の最後は2月にホームゲームも残っているので、ぜひファンのみなさんにプレーオフを決める試合を見せたいと思います。アリペッカ・シッキネンヘッドコーチが考えているシステムを、チーム一丸となってやり抜いていければ自ずと勝利につながっていくと思います。


 日光で応援してくれている方のためにもアジアリーグ優勝へ向けてこれからも勝ち抜いていきたいと思います。ぜひ応援してください!
 

関谷智紀Sekiya Tomoki
1971 年生まれ。埼玉県入間市出身。
スポーツ番組ディレクターを経てライターに転身。
スポーツのみならず経済・IT、フードなどのジャンルで雑誌を中心に記事を執筆。
アイスホッケー取材は2004 年から続けている。