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H.C.栃木日光アイスバックスコラム【第7回】
 
◎H.C.栃木日光アイスバックス  コラム

絶対に負けられない苫小牧決戦へ。
そして、全日本選手権の朗報を待つ。

Text/関谷智紀・/MASA、佐野忠司
 
まさに激動・激戦の今シーズンを象徴するかのような2週間だった。

12月2日(土)・3日(日)、ホーム霧降に日本製紙クレインズを迎えた2連戦、アイスバックスはシーズンを通して見てもベストと言えるチーム状態だった。2日の試合では第3ピリオド残り10分で寺尾勇利、田中健太郎、寺尾裕道と3連続ゴールが飛び出して爽快な逆転勝ち。


翌3日は、崖っぷちに追い込まれたクレインズの必死の粘りに第2ピリオドを終え、3-4と1点のビハインド。しかし、残り8分で寺尾(裕)が左フェンス際から送ったパスに古橋真来が完璧に合わせ4-4の同点に。ゲームウィニングショット戦にもつれ込んだ試合は、GK福藤豊が最高のセービングを連発し、寺尾(勇)のゴールで得たリードを守り切って逆転勝利。勝ち点5をあげて、クレインズを崖っぷちに追い込んで見せた。


この時点では、翌週のデミョン・キラーホエールズ戦を最低でも1勝1敗で乗り切れば、5位以上を確定させてプレーオフ進出、さらにはホームでファーストラウンドの開催権を得られる54位もほぼ手中にしていたかに思えたのだが…。まさか、まさかである。


12月9日(土)・10日(日)のデミョン2連戦はプレーオフ進出決定をこの目で見ようと集まった満員のファンを前に、接戦を2日続けて落とした。
「勝ち点0は残念でならない。この2試合、決して内容が悪かったわけではない。広くリンクを使い攻撃の形もできていた。しかし、先に点を取らないと苦しくなる、典型的な試合展開になってしまった」と連敗を悔やむシッキネンHCの表情は沈痛だった。特に10日の試合は、最後の6人攻撃で「これは決まった」と思えるシュートが無情にもポストに弾かれてしまい、デミョンにそのパックをつながれて元バックスの鈴木雄大にエンプティネットゴールを決められるという、勝利の女神の気まぐれに完全に振り回されたのだ。


この結果、12月10日終了時点でバックスは勝ち点35で6位に順位を下げ、プレーオフ進出は最終節12月23日(土)・24日(日)に予定されているアウェー苫小牧での王子イーグルス2連戦の結果に懸かることとなった。
「良いときの自分たちはもっとハイレベルなホッケーができていた。イーグルス戦は、60分間ハードワークを貫くという原点を思い出して戦いたい」と語るのは齋藤哲也キャプテン。


最終節、イーグルスに2連勝して勝ち点6を獲得すれば、イーグルスとデミョンを抜いて4位が確定。東北フリーブレイズ対クレインズの結果次第では3位の可能性もある。
一方、プレーオフ圏の5位を自力で勝ち取るためには勝ち点3が必要だ(※)。連敗は許されない。


※ただし、バックスがイーグルス2連戦で延長orGWS勝ち+延長orGWS負けの勝ち点3だった場合、クレインズがフリーブレイズに60分勝ちで2連勝すると勝ち点38で並ぶ。この場合、リーグ規定によりクレインズが5位となる。「負けたとはいえ、終始パックを支配できていたし、この結果をもってネガティブになる必要はまったくない。チームは100%の力を出し切って戦えたと思う。エースとして最高の結果を出すべく、自分に鞭打って頑張るほかない。全日本で優勝して勢いを付け、リーグのラスト2試合も一気に勝ちきってプレーオフを勝ち取りたい」と気迫あふれるコメントを残してくれたのは、寺尾(勇)だ。今季最大の山場を乗り越えられるか否かは、全選手がこういった気持ちで、自信を持って戦えるかどうかにかかっている。


この号が出る頃には12月17日決勝の全日本選手権の結果も出ている。
アイスバックスは今季最大のピンチとも言えるこの状況を“結束力”と“魂のハードワーク”で吹き飛ばすことができるのか?それができたとき、バックスは強く魅力的なチームへまた一皮むけるはずだ。全日本選手権、そしてイーグルス2連戦での朗報を待ちたい。

 
 
関谷智紀
Sekiya Tomoki

Profile
1971年生まれ。埼玉県入間市出身。
スポーツ番組ディレクターを経てライターに転身。
スポーツのみならず経済、IT、フードなどのジャンルで雑誌を中心に記事を執筆。
アイスホッケー取材は2004年から続けている。