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那須ブラーゼン コラム【第19回】 若杉厚仁社長コラム  のコピー
 
あっという間に2 月になりました。
3月には開幕を迎えますので、このラスト1ヶ月の準備がシーズンを占うと思うと、さらにギヤを一段上げていかないといけません。

さて、今回はホームレース開催に関する少し突っ込んだお話を。
昨シーズンは、大田原市、那須塩原市、那須町、矢板市といった那須ブラーゼンのホームであり、栃木県北部の市町において計4レースのホームレースが開催されました。
多くの地元の皆様のご理解の元開催されたこれらのレースは、他県から遠征してくるライバルチーム関係者や、社会人レーサーの方々を驚かせたことでしょう。
しかし、今シーズンはこの栃木県北部を舞台とするホームレースの並びが大きく変わり、残念ながら4レースの開催から2レースの開催へと数を減らしました。
これには、もちろん様々な要因が存在していて、一概には言えない部分もありますが、要因のひとつを端的に表現すると「開催地への負担が大きい」ことがあげられると思います。
那須ブラーゼンや宇都宮ブリッツェンなど、日本国内においてプロチームとして活動しているチームが名を連ねている国内最高峰ツアー「Jプロツアー」は完全なプロリーグ化が達成されていません。
この点においても他の種目よりも整備が遅れていることが見て取れます。
地元開催のレース誘致などに関わっていると、「ツアーやリーグの持つ価値やブランド力」というものを非常に強く意識させられます。大会の開催に際しては、「どれぐらいのお客さんが来場するのか?」、「どれぐらいの開催費用が掛かるのか?」などといった重要ポイントが容易に想像されることと思いますが、多くの来場を見込むにはそもそもの「ツアーのブランド力」というものが必要ですし、現在の仕組みにおいては大会開催に関する諸費用は開催地で準備される実行委員会が負うこととなっていて、ツアー組織からの大きな補助などは見込むことが出来ません。
その点で、開催地=那須ブラーゼンのホームタウンなどには多くの負担をお掛けしながらホームレースを誘致していただいている訳で、「ホームレース開催」という切り口においても「力のあるプロリーグ組織」が必要であることが明確に感じられました。
今後、ブラーゼンやブリッツェンといった、独立型の地域密着型プロチームは、ツアーの整備に向けた提言や実務などを強く推進していく立場になっていくことが求められます。
 
 
年が明け、新メンバーで2019シーズンを迎えました。
ブラーゼンはチーム発足から毎年の様に多くのメンバーが入れ替わるため、他のチームに比べても比較的慌ただしい新シーズンを迎えることが多いのですが、今年はメンバーの入れ替わりに加えて、様々な新しいチャレンジをする準備もあり、より一層慌ただしいスタートを切ったように思います。

今シーズンの新たな取り組みの中で最も特筆すべきことは、「選手全員を会社事業に組み込む」ことです。
具体的には、営業や事務処理、ガイドツアーの運用やコーチング、顧客のバイクの整備、チームの遠征計画の作成や実行に至るまで、会社事業のすべてに選手達を加えることを指します。
この取り組みには賛否両論あり、まずはプロレーシングチームとしての戦力と機能を保つことが出来るのか?という大きな問いがあるかと思いますが、これについては単純に「可能」であると考えています。

というのも、選手達のトレーニングや回復に要する時間は、確かに他の競技に比べて比較的長い部類に入るのですが、回復日やトレーニング時間を短くコントロールしなければならない日があるなど、「チーム」の機能を共に担う「リソース」をシェアしてもらうことは組織全体としての能力を考えれば逆に有効なことです。

この取り組みにより、選手達はより自治的に自らの活動全体を見渡し、自らの活動に必要な働きを行うことでより良い活動に結び付く場合もあると考えられます。
また、専任選手である時代よりも多くの給与を受け取ることが可能となりました。

サイクルロードレースはスポーツビジネスとして、スポーツエンタテイメントとして成立させることが、全世界的にも難しい課題としてとらえられています。
すなわち、チーム単位でこれを成立させることもまた非常に難しい課題ですが、チームの価値を選手達と共に作り出せるとすれば、それは新たな可能性を生み出すと確信しています。

新シーズンの那須ブラーゼンの新たな取り組みにもご注目頂きたいと思います。
 
若杉厚仁
Wakasugi Atsuhito

Profile
1989年10月14日生まれ。千葉県出身。
宇都宮ブリッツェンでプロデビュー。
2013年に那須ブラーゼンに移籍、選手権取締役運営マネージャーに就任。
シーズン末に現役引退。
2016年より那須ブラーゼン運営会社「NASPO㈱」代表取締役社長を務める。