栃木求人マーケットは栃木県宇都宮市の求人情報がどこよりも詳しく掲載

 
  宇都宮ブリッツェン コラム【第31回】
 
シクロクロスの日本チャンピオンを決める「第25 回シクロクロス全日本選手権大会」が
12月8日に愛媛県内子町で開催された。

 国内ロードレースシーズンが終わりを告げると同時に本格化するシクロクロスシーズンは、この全日本選手権でひとまずの山場を迎える。
今季はロードレースにも復帰したものの、それまでシクロクロス専任の選手として活動していた宇都宮ブリッツェンの小坂光にとっても、
シーズン最大の目標に定めているレースだ。


 シクロクロスはもともと、ロードレース選手がオフシーズンのトレーニングとして始めたのが起源と言われていて、
現在ではベルギーとオランダの二大国を中心に、世界的な人気を得る競技になった。
小坂はそんなシクロクロスの国内トップ選手の1人であり、2017 年には全日本選手権を制して日本一になるなど、これまでも輝かしい実績を残している。


 しかし、今季の小坂はシリーズ戦で表彰台にはコンスタントに上がるものの、全日本選手権前に出場した5戦で勝利はなし。
未勝利で全日本選手権に臨むのは初のこととなった。


 レースは序盤から優勝候補勢が先頭集団を形成する展開。
小坂もしっかりとその中に入ってレースを展開し、終盤までに4人に絞られた先頭集団をキープし続けたが、
残り2周の終盤にライバル選手の揺さぶりにハマって少し遅れてしまい、最後までその差を埋めることができずに3位でレースを終えた。


 勝利こそなかったものの、大会前の調整も上手くいき、今季最高のできと言える走りを全日本選手権で見せた小坂。
しかし、終盤の勝負どころで他選手の影響を受けやすい場所に位置してしまったことをはじめ、駆け引きや一瞬の判断の差が、今回の勝敗につながってしまった印象だ。


 今年の結果も加えると、小坂は8年連続で全日本選手権の表彰台に上がっていることになる。
その点は評価に値するが、優勝したのは1回のみ。
シルバー、ブロンズコレクターになってしまっている感は強い。
31歳という年齢を考えても、この先数年間が本当の意味で勝負ができる期間と考えると、再び歓喜に包まれるために残された時間は少ない。


 今季の小坂はロードレースとシクロクロスに加えてMTBのレースにも参戦し、年間を通してフル活動した1年になった。
ただ、これは明らかにオーバーワークだ。
本人もそのことを自覚しており、来季はロードレースとシクロクロスの2競技に絞っての活動を予定している。

空いた時間でしっかりと乗り込み、ベースとなる部分の強化ができた時、2度目の全日本選手権制覇が見えてくるはずだ。

 1年後の大一番に向け、小坂選手の挑戦は既に始まっている。

 

小森信道Komori Nobumichi
スポーツの感動を「コトバ」で読み解き、写真で伝える、編集事務所ハットトリックカンパニー代表。2011 年より宇都宮ブリッツェンオフィシャルとしてサイクルスポーツの取材を始め、現在では新聞連載やweb メディアにも数多く寄稿するなど活躍の幅を広げている。
サイクルメディアグループ「Porte au Village」メンバー。