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  宇都宮ブリッツェン コラム【第33回】
 
 
 宇都宮ブリッツェンにとっての今季初戦となる、国際自転車競技連合(UCI)公認の国際レース「ツール・ド・ランカウイ」が終了した。そして、この原稿はその直後にマレーシアのホテルで執筆している。


 今回のツール・ド・ランカウイでのチームの唯一にして最大の目標は、増田成幸のUCI ポイントの獲得。今夏に行われる東京オリンピックの代表選手選考に必要なUCI ポイントを獲得するために、チームはマレーシアに来たのだ。


 昨年、日本ナショナルチームで同レースに出場した増田は、最も名誉ある個人総合時間で5位となり、UCI ポイントを85 ポイント獲得。今年はそれ以上の結果を求めて、チームとして出場した訳だが、増田は個人総合時間23位に終わり、UCI ポイントも5ポイントを獲得するのみにとどまった。


 そうなってしまった要因はいくつかある。まずは初日の第1ステージに、増田自身が大会関係車両と接触して転倒した選手に巻き込まれる形で落車。身体に甚大なダメージを背負ってしまったばかりか、いきなりタイム差を失う事態になった。

 
 さらに、続く第2ステージでは貴重なアシスト役の小野寺玲も落車。翌第3ステージでレースを降りることになった。また、完走はしたが鈴木龍は期間中ずっと体調不良に悩まされ、西村大輝も第4ステージが終了した夜から発熱に苦しんでレースを去った。


 こういったさまざまな要因が重なった結果が、目標を達成できなかったことにつながったのだが、それをひと言でいうのであれば、「チームとしての経験不足」と言うしかないだろう。今回の期間中ずっとチームに帯同していて、スタッフも含めて環境に適応して最大値のパフォーマンスを発揮できたかと言われれば、自信を持ってYes とは言えない。


 逆に、今回ともにレースを戦ったライバルチーム勢は、常にこの場を主戦場として戦っている。その経験値の差は、目に見えている以上に明確だったように思う。


 普段は国内レースを主戦場に戦っている宇都宮ブリッツェンが、海外のレースにポッと出場して、いきなり求める結果を手にできるほど甘くはなかった。結果を得るには、やはり、その場所に立ち続けることが何よりも重要だ。そのための動きを「グローカル」というビジョンを掲げる運営会社も考えなければいけないだろう。


 今回の結果で、五輪代表選考ランキングの順位は増田の2位は変わらないものの、3位以下の選手にポイント差を詰められてしまった。選考期間の5月31日まで、その争いはさらに激化していくだろう。今回の苦い経験をしっかりと次への力に変え、増田を五輪代表にという目標を達成していくれることを、心から期待している。

 

小森信道Komori Nobumichi
スポーツの感動を「コトバ」で読み解き、写真で伝える、編集事務所ハットトリックカンパニー代表。2011 年より宇都宮ブリッツェンオフィシャルとしてサイクルスポーツの取材を始め、現在では新聞連載やweb メディアにも数多く寄稿するなど活躍の幅を広げている。
サイクルメディアグループ「Porte au Village」メンバー。