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  宇都宮ブリッツェン コラム【第34回】
 
 3月1日から5日の5日間にわたり台湾で開催された、国際自転車競技連合(UCI)公認の国際レース「ツール・ド・台湾」。
宇都宮ブリッツェンは、2016年以来4年ぶりに同レースに出場することになった。

 今レースの最大の目標は、2月に出場した「ツール・ド・ランカウイ」に続き、今夏の東京五輪出場を狙う増田成幸が、
その代表選考のために必要なUCI ポイントを獲得すること。

昨年、日本ナショナルチームで同レースに出場した増田は、最も名誉ある個人総合時間で8位に入り、UCI ポイントを30ポイント獲得。
今回は、それ以上の順位とUCI ポイントの獲得を狙って台湾入りした。

 台北市の平坦なコースで開催された第1ステージ。
ブリッツェンはゴールスプリントに挑んだ鈴木龍が中間スプリントポイントでボーナスタイムを獲得し、アジア人最上位となる個人総合時間8位に。
アジア人トップの選手に与えられるベストアジアンライダージャージをいきなり着用する、幸先の良いスタートを切った。

 続く第2ステージ。
タイム差がつく可能性がある山頂フィニッシュの重要ステージで、チームメートのアシストを受けた増田が最終局面に挑み、ステージ5位でフィニッシュする活躍を見せたがタイム差は奪えず。
個人総合24 位に浮上するにとどまった。

 その後のステージでも、ブリッツェンは増田の個人総合時間ジャンプアップに向け、中間スプリントポイントでボーナスタイムを獲得できるよう全員が積極的に攻撃を仕掛けていったが、
同様の思惑を持っているチームが多数だったこともあり、思い通りにボーナスタイムを獲得することはできず。
最終的に増田は個人総合時間24位でレースを終え、獲得したUCI ポイントは3ポイントにとどまった。

 その一方で、最終ステージとなる第5ステージで逃げに乗り、中間スプリントポイントでボーナスタイムを獲得した鈴木譲は
個人総合時間11位に順位を上げ、UCI ポイントを15ポイント獲得。
また、初日にボーナスタイムを獲得していた鈴木龍も個人総合時間16位でまとめて、増田と同じくUCIポイントを3ポイント獲得するなど、
チームとしての総合力の高さを見せることはできた。

 レースを振り返って思うのが、大きな目標を設定しその目標を達成することが、いかに難しいかということだ。
特に、今回の台湾は、前戦のランカウイで増田が落車に巻き込まれて負傷を負ったこと、
また帰国後に増田が体調を崩して不安が残る中でのレースになってしまったことの影響が大きかった。

また、全日程を通して、登坂力に優れる増田向きのレイアウトのコースが少なかったことも、結果に大きく影響したと言える。


 個人総合時間が秒差の争いになることは事前に予想できていたし、チームとしてはスプリント力のある鈴木譲や鈴木龍をエースに戦い、より好成績を求めることもできたのは事実。
しかし、今回の台湾出場は、五輪選手輩出という大目標のもと、増田にUCI ポイントを獲得させるためだった。
それを考えると、さまざまな要素の噛み合わせが良い方向に向かわないままレースを終えることになってしまったと言えるだろう。

 この結果、増田は五輪日本代表選考ランキングで2位をキープしてはいるが、3位の中根英登とのポイント差は僅差になった。
直近の最大目標である東京五輪代表選考の争いは、5月31日まで続く。残された対象レースで今回の経験を生かし、目標を達成することを願っている。

 

小森信道Komori Nobumichi
スポーツの感動を「コトバ」で読み解き、写真で伝える、編集事務所ハットトリックカンパニー代表。2011 年より宇都宮ブリッツェンオフィシャルとしてサイクルスポーツの取材を始め、現在では新聞連載やweb メディアにも数多く寄稿するなど活躍の幅を広げている。
サイクルメディアグループ「Porte au Village」メンバー。