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第1 戦 ●栃木90(OT2)93 琉球

試合後の記者会見場。
ブレックスアリーナ宇都宮では史上初めてと思われるダブルオーバータイムにもつれ込んだ大激戦を戦い終えたライアン・ロシター選手は、用意された椅子に座ることができなかった。
足がつっていて、背もたれを両手でつかんで身体を支えている。
こんなロシター選手の姿は初めて見た。
すべてを出し切った。
42分余り出場し52得点のBリーグ新記録達成。
しかし「個人の得点よりもフリースローを決められなかった悔しさしかない。自分の責任です」と笑顔は全くなかった。
同点の残り0秒7、1本でも決めれば勝利決定というフリースローを2本外すなど、数度訪れた勝てるチャンスを生かせなかった。
しかしここまで対戦したチームより数段激しい守備の前に手を焼く中、攻守に奮闘した大黒柱を責めることはできない。

「1人だけたくさん点を取るのはうちのスタイルではない。メンタル、リバウンド、ルーズボールなど全てで琉球が高い水準だった。力負けです。明日もう一回チャレンジする」と安齋竜三ヘッドコーチはチーム全体に巻き返しを促した。
キングスは前週の天皇杯で大阪に苦杯を喫した上にアイラ・ブラウン選手が負傷離脱。
チームの危機に佐々宜央ヘッドコーチはアイシン三河から加入した橋本竜馬選手を初先発起用し、並里成選手と2ガードにするシステム変更を講じた。

その橋本選手が持ち前の気持ちのこもったハードな守備でチームにエナジーを与え続けた。
1Qにキングス10点リード、その後守備に慣れだしたブレックスがじわじわ追い上げ4Q残り3分からシーソーゲームになり延長へ。

その途中ジェフ・ギブス選手のファウルアウトを機に劣勢になったブレックス、2度にわたる延長での白星をもぎとることはできなかった。

第2 戦 ○栃木77-67 琉球

「プライドを見せなければならない。原点に返って自分たちのバスケをしよう」と送り出した安齋HC。
序盤は追う展開だったが竹内公輔選手の泥臭いリバウンドや前日封じられたギブス選手のゴール下が当たりだし、前半最後の遠藤祐亮選手のブザービーター3で追いつきハーフタイムへ。
そして3Qに策に出た。

キングスの攻撃にバックコートで激しいプレスをかける。
前日の激闘の疲労で体力的にきつかったはずだが、鵤誠司選手を先頭に組織的に繰り返したオールコートプレスでキングスのミスを誘発、攻めてはゴール下に積極的にアタックしてファウルを誘い、フリースローで13点。
一気に差を広げて勝利を呼んだ。

両チームの武器である激しい守備のやりあいでキングスを上回るエナジーを発揮、25得点のロシター選手をはじめ4人が二けた得点。
前日の惜敗にもメンタルを崩さず、チームのスタイルを取り戻しての勝利だった。
「 記録よりもチームの勝利。兄のために勝ちたかった」。

4日前に内緒で初来日した兄のスティーブ・ロシターさん(デビッドソン大でNBA のスーパースター、ステフィン・カリー選手とチームメイトだった!)が見つめる中、会見場でゆったりと椅子に座ったロシター選手が力強く話してくれた。
 
 
篠田和之
Shinoda Kazuyuki

Profile
フリーアナウンサー。宇都宮出身。
とちぎテレビ「とちテレニュースLIFE」キャスター。
株式会社ラテールプロモーション代表取締役。
Jリーグ・Bリーグ・アイスホッケー・野球など多くのスポーツ実況を手がける。