栃木ゴールデンブレーブスは、徳島での日本独立リーググランドチャンピオンシップ(3勝4敗)をもって、全ての試合日程を終えて、2019 シーズンの幕を閉じた。
残念ながら「独立リーグ日本一」を手にすることはできなかったが、創設3年目にして初のBCリーグ優勝を果たし、栃木県に深紅のチャンピオンフラッグをもたらした。
今季から指揮をとった寺内崇幸監督に、快進撃の裏側を振り返っていただいた。
―昨年まで選手で指導者1年目。振り返ると…。
監督という立場になって、まずは自分のことだけでなく、チーム全体を見なければいけないと思いました。
それをどう実践するか考えました。
いろんな勉強をしなくてはならないなと。
技術だけでなくて、社会人として大事なことも伝えたいと思いました。
その上で、選手には怯えてプレーするようなことはしてほしくないと思っていました。
ミスをしてはいけないと思ってプレーをするのは成長においてマイナスしかない。
ただ、失敗はしてもいいけれど、責任はあるということもしっかり伝えました。
―前期は3位という成績について。
BCリーグは毎年、各チームの半分近い選手が入れ替わります。
シーズン前に首脳陣で話し合いをしましたが、各戦力を分析するためにも様子を見る時間も必要でした。
相手チームはもちろん、自分たちのチームも。
全選手をしっかり見たかったので、まんべんなく選手を起用したということです。
そういう中でも負けていい試合はない。
もちろん勝つつもりで挑んでいました。
ですが、前期3位というのはある意味では予定通りでしたね。
―後期はギアが上がった印象です。
後期は、選手の中で競争意識を高めるようにして、優勝しようということを強く言いました。
それから一人ひとり変わりましたね。
勝とうという気持ちでチームがまとまりました。
リーグ戦終盤で、どうしても落とせないと思っていたゲームで負けたんです。
「このままではいけない」と選手たち全員でミーティングをしてくれました。
そこからは、ほぼ負けませんでした。
リーグ戦の勝敗には関係ないですが、ロッテとの2戦も負けませんでした。
かなり戦力のあるメンバーを揃えてきたNPB を相手に勝てたことで、波に乗れました。
一度負けたからこそ、奮起して、最後まで戦えたと思います。
―そして、優勝を決めたときは?
優勝を目指してやってきましたけど、そう簡単ではないと思っていたので、本当に嬉しかった。
特に接戦を勝ち切ったこと。
選手たちの喜ぶ姿も見られましたし、去年、一昨年となかなか勝てなくて苦しい思いをしてきた選手たちの喜ぶ姿もまた嬉しかったですね。
―喜びと苦しさ、どちらが大きかった?
もちろん苦しい時期もたびたびありましたけど、その分嬉しさもありました。
何よりも球団スタッフなど、裏で支えくれるみなさんこそが苦しかったと思います。
そういうサポートのおかげで勝てました。
その思いに報いることができたなら、嬉しいですね。
―シーズン前に掲げた目標は達成できた?
選手には、勝ち負けにこだわってほしいと言ってきました。
ファンの方やスポンサーの方、熱心に応援してくださる方々に笑顔になってもらうにはやはり勝つこと。
これだけ多くの方々に応援してもらえるというのは、すごいことですよね。
だから勝たないと。
そのプレッシャーに打ち勝つことができたら、選手の成長にも繋がる。
今シーズンはそれが優勝にもつながったと思います。
それが思い描いていたことなので、そこは出来たのかなと思います。
―今後は?
3年目にしてBCリーグ初優勝をすることができました。
これはチームにとって特別なこと。
ただ、これからが勝負です。
さらに多くの人に、栃木ゴールデンブレーブスを知ってもらいたいですね。
今も十分愛されている実感はありますけれど(笑)
栃木県はスポーツが盛んで、いろいろなプロチームがあります。
ほかの競技に負けないよう人気のあるチームになっていきたいです。
もっともっと頑張ります。
高村麻代Takamura Mayo
NHK 各局(津→長野→新潟→宇都宮)で、テレビを中心にキャスター・リポーターを勤める。
フリーアナウンサーとして、CRT栃木放送やFMくらら857 でパーソナリティを務めるほか、 ブライダルやイベントのMC、ナレーション、地域誌のコラムなども担当。