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H.C.栃木日光アイスバックスコラム【第10回】花は散った。しかし、種は播かれた。
 
両チーム、持てる力を振り絞った壮絶な戦いだった。レギュラーシーズンを4位で通過したH.C. 栃木日光アイスバックスは、ホーム霧降に
5位通過の王子イーグルスを迎え撃った。
 

1つのミスが大きく戦局を動かす、一瞬たりとも気を抜けない緊張感のなかで、バックスの選手たちは気迫のこもった素晴らしい
プレーをホームのファンに見せてくれた。だが結果は第1戦が1-3、第2戦は2-1。そして雌雄を決する第3戦は2-4。
激戦ばかりだったシリーズはイーグルスに2勝を許し、アイスバックスのシーズンはここで終わった



雌雄が決した直後の、指揮官の言葉を紹介しよう。「どの選手も全てを出し切ってくれた。ただ、試合というものには勝敗が必ずつきまとう。
新しいスタイルに挑戦してきたが、スケーティング、パスの精度などまだまだ向上させないといけない。そのためには時間が必要だ」
(アリペッカ・シッキネンヘッドコーチ)「新しい可能性を見せてくれたシーズンでした。我々の新しいホッケーを貫いて戦ってくれたが、
試合ごとに波があったり、ミスがあったり、チャンピオンになるためにはやってはいけない部分もあった」(藤澤梯史アシスタントコーチ)
勝敗を分けたのは「経験」という見えないものの差だったか。



特に3月6日(火)の第3戦は、第1ピリオド18’ 22 に齋藤哲也がアタッキングゾーンでのフェイスオフをゴールに直接たたき込むという
離れ業を見せて待望の先制点を奪い、波に乗るかと思われた矢先、次のフェイスオフから失点。第2ピリオドにも、岩本和真が電光石火の
スピードで左サイドを駆け上がり、キーパーをも交わす得点で会場が一気に盛り上がったが、その次のプレーで失点。


バックスは2度もリードを奪いながら、その時間がわずか42 秒に留まったのが痛恨の極み。得点をした直後になぜかバタバタして失点する
という“悪癖”が大事な試合で顔を出し、最後まで主導権を握ることができなかったのが悔やまれる。



今季のアイスバックスはフィンランドスタイルのパスホッケーが花開いたが、若いチームゆえに経験の少なさが足かせとなったのか、全日本選手権、
そしてプレーオフと重要な試合にコンディションをピークに持ってくることができなかった。それは非常に残念でならない。


ただ、アイスバックスというチームがリーグ優勝にふさわしいチームへと変貌を遂げていることは確かだ。「ここ数年、バックスには積み上げてきた
ものを全て奪われてきただけに絶対に勝ちたかった。12 月に苫小牧で負け、バックスとのプレーオフが決まってから、ずっとバックスを困らせる
イメージで練習を重ねてきた。次のサハリン戦は考えていなかった」。


敵将の桜井監督が試合後に明かしてくれた言葉がそれを物語る。


シッキネンHC は来季も指揮を執ることがほぼ確定的。2年目は指導力のある彼のもと、さらなる戦術の充実が期待できるだろう。
さらにアイスバックスはHC とも育成方法をともに見直して、ジュニア世代から一貫した方針のもと選手を育成するスタイルに舵を切っている。
単なるフィンランドスタイルの輸入ではない、アイスホッケーの盛んな街である日光ならではの育成スタイルを定着させるべく、
選手・スタッフの奮闘が早くもこのオフから始まる。


齋藤兄弟も、古橋真来も、寺尾兄弟も、そして福藤豊も揃って明かしてくれたのは「もっと強くなるために、今日この日からまた再スタートを」
という想いだ。来季こそ優勝という大きな花を咲かせるために、選手たちの心の中に種は播かれている。
 
関谷智紀
Sekiya Tomoki

Profile
1971年生まれ。埼玉県入間市出身。
スポーツ番組ディレクターを経てライターに転身。
スポーツのみならず経済、IT、フードなどのジャンルで雑誌を中心に記事を執筆。
アイスホッケー取材は2004年から続けている。